平成30年度 宅建 問3(権利関係)
出典:平成30年度 宅地建物取引士資格試験 問3(一般財団法人 不動産適正取引推進機構)
- 1本件約定は、停止条件付贈与契約である。
- 2本件約定の後、Aの放火により甲建物が滅失し、その後にBが本件試験に合格した場合、AはBに対して損害賠償責任を負う。
- 3Bは、本件試験に合格したときは、本件約定の時点にさかのぼって甲建物の所有権を取得する。
- 4本件約定の時点でAに意思能力がなかった場合、Bは、本件試験に合格しても、本件約定に基づき甲建物の所有権を取得することはできない。
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正解:3
選択肢1:根拠はこうなっている。
贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。
停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる。
この記述は正しい。
Bが本件試験に合格するという将来の不確実な事実の発生によって贈与の効力が生ずるので、本件約定は停止条件付贈与契約である。
選択肢2:根拠はこうなっている。
条件付法律行為の各当事者は、条件の成否が未定である間は、条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益を害することができない。
この記述は正しい。
条件付法律行為の当事者は、条件の成否が未定である間は、条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益を害することができない。Aが放火により甲建物を滅失させ、その後にBが合格した場合、AはBの利益を害したものとして損害賠償責任を負う。
選択肢3:根拠はこうなっている。
停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる。
当事者が条件が成就した場合の効果をその成就した時以前にさかのぼらせる意思を表示したときは、その意思に従う。
この記述は誤りである。
停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる。当事者が条件成就の効果をさかのぼらせる意思を表示していない本件約定では、Bは合格した時に甲建物の所有権を取得するのであり、本件約定の時点にさかのぼって取得するのではない。
選択肢4
この記述は正しい。
意思能力のない者がした法律行為は無効である(判例(大判明38.5.11))。本件約定の時点でAに意思能力がなかった場合、本件約定は無効であり、Bは合格しても甲建物の所有権を取得することはできない。
以上から、正解は選択肢3である。
2026年度試験基準での補足
意思能力を有しなかった者の法律行為が無効であることは、令和2年4月1日施行の改正で民法3条の2に明文化された。贈与の定義(549条)は「自己の財産」が「ある財産」に改められたが、停止条件付法律行為の効力の発生時期(127条1項)、条件の成否未定の間の相手方の利益の侵害の禁止(128条)は変わらない。本問の正解は、出題当時の法令によるものである。
法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。