平成30年度 宅建 問7(権利関係)
出典:平成30年度 宅地建物取引士資格試験 問7(一般財団法人 不動産適正取引推進機構)
- 1譲渡禁止特約のある債権の譲渡を受けた第三者が、その特約の存在を知らなかったとしても、知らなかったことにつき重大な過失があれば、当該債権を取得することはできない。
- 2債権の譲受人が譲渡禁止特約の存在を知っていれば、さらにその債権を譲り受けた転得者がその特約の存在を知らなかったことにつき重大な過失がなかったとしても、債務者はその転得者に対して、その特約の存在を対抗することができる。
- 3譲渡禁止特約に反して債権を譲渡した債権者は、債務者に譲渡の無効を主張する意思があることが明らかである等の事情がない限り、その特約の存在を理由に、譲渡の無効を主張することができない。
- 4譲渡禁止特約のある債権をもって質権の目的とした場合において、質権者がその特約の存在について悪意であるときは、当該質権設定は無効となる。
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正解:2
選択肢1:根拠はこうなっている。
前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。
譲渡禁止の特約のある債権の譲受人は、その特約の存在を知らないことにつき重大な過失があるときは、悪意の譲受人と同様に、その債権を取得することができない。
出典:https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-52073.pdf
この記述は正しい。
譲渡禁止の特約は善意の第三者に対抗することができないが、判例は、特約の存在を知らないことにつき重大な過失がある譲受人は、悪意の譲受人と同様に債権を取得することができないとしている。
選択肢2:根拠はこうなっている。
前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。
この記述は誤りである。
譲渡禁止の特約は、善意の第三者に対抗することができない。譲受人が特約の存在を知っていても、さらに債権を譲り受けた転得者が特約の存在を知らず、知らなかったことにつき重大な過失がなければ、債務者はその転得者に特約の存在を対抗することができない。
選択肢3:根拠はこうなっている。
譲渡禁止の特約に反して債権を譲渡した債権者は、同特約の存在を理由に譲渡の無効を主張する独自の利益を有せず、債務者に譲渡の無効を主張する意思があることが明らかであるなどの特段の事情がない限り、その無効を主張することは許されない。
出典:https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-37486.pdf
この記述は正しい。
選択肢4:根拠はこうなっている。
質権は、譲り渡すことができない物をその目的とすることができない。
前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。
この記述は正しい。
質権は、譲り渡すことができない物をその目的とすることができない。譲渡禁止の特約のある債権は、特約の存在を知っている者に対する関係では譲り渡すことができないので、質権者が悪意であるときは、その債権を目的とする質権設定は無効となる。
以上から、正解は選択肢2である。
2026年度試験基準での補足
債権の譲渡制限の特約(譲渡制限の意思表示)の効力は、令和2年4月1日施行の改正で大きく改められた。2026年度試験基準では、譲渡制限の意思表示がされたときであっても、債権の譲渡はその効力を妨げられない(466条2項)。債務者は、譲渡制限の意思表示を知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済等をもって対抗することができるにとどまる(同条3項)。選択肢1の「債権を取得することはできない」、選択肢4の「質権設定は無効」は出題当時の法令によるもので、2026年度試験基準では譲渡・質権設定そのものは有効となる(預貯金債権については、譲渡制限の意思表示を知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対抗することができる。466条の5第1項)。本問の正解は、出題当時の法令によるものである。
当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。
前項に規定する場合には、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる。
預金口座又は貯金口座に係る預金又は貯金に係る債権(以下「預貯金債権」という。)について当事者がした譲渡制限の意思表示は、第四百六十六条第二項の規定にかかわらず、その譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対抗することができる。