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令和元年度 宅建 問8(権利関係)

出典:令和元年度 宅地建物取引士資格試験 問8(一般財団法人 不動産適正取引推進機構)

法改正の影響あり(解説で確認)
Aを注文者、Bを請負人とする請負契約(以下「本件契約」という。)が締結された場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
  1. 1本件契約の目的物たる建物に重大な瑕疵があるためこれを建て替えざるを得ない場合には、AはBに対して当該建物の建替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することができる。
  2. 2本件契約が、事務所の用に供するコンクリート造の建物の建築を目的とする場合、Bの瑕疵担保責任の存続期間を20年と定めることができる。
  3. 3本件契約の目的が建物の増築である場合、Aの失火により当該建物が焼失し増築できなくなったときは、Bは本件契約に基づく未履行部分の仕事完成債務を免れる。
  4. 4Bが仕事を完成しない間は、AはいつでもBに対して損害を賠償して本件契約を解除することができる。
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正解:2

選択肢1:根拠はこうなっている。

→ 民法第六百三十四条第2項

注文者は、瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損害賠償の請求をすることができる。この場合においては、第五百三十三条の規定を準用する。

→ 民法第六百三十五条

仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができないときは、注文者は、契約の解除をすることができる。ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでない。

→ 判例(最高裁判所平成14年9月24日判決)

建築請負の仕事の目的物である建物に重大な瑕疵があるためにこれを建て替えざるを得ない場合には、注文者は、請負人に対し、建物の建て替えに要する費用相当額を損害としてその賠償を請求することができる。

出典:https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-76100.pdf

この記述は正しい。

出題当時の民法では、建物その他の土地の工作物の請負では、瑕疵を理由に契約を解除することはできなかった。判例は、建築請負の仕事の目的物である建物に重大な瑕疵があるためにこれを建て替えざるを得ない場合には、注文者は、請負人に対し、建物の建て替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することができるとしている。

選択肢2:根拠はこうなっている。

→ 民法第六百三十八条第1項

建物その他の土地の工作物の請負人は、その工作物又は地盤の瑕疵について、引渡しの後五年間その担保の責任を負う。ただし、この期間は、石造、土造、れんが造、コンクリート造、金属造その他これらに類する構造の工作物については、十年とする。

→ 民法第六百三十九条

第六百三十七条及び前条第一項の期間は、第百六十七条の規定による消滅時効の期間内に限り、契約で伸長することができる。

→ 民法第百六十七条第1項

債権は、十年間行使しないときは、消滅する。

この記述は誤りである。

コンクリート造の建物の請負人は、引渡しの後10年間担保の責任を負う。この期間は契約で伸長することができるが、167条の規定による消滅時効の期間(10年)内に限られるので、20年と定めることはできない。

選択肢3:根拠はこうなっている。

→ 民法第五百三十六条第2項

債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない。この場合において、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。

→ 判例(最高裁判所昭和52年2月22日判決)

請負契約において仕事が完成しない間に注文者の責めに帰すべき事由によりその完成が不能となった場合には、請負人は、自己の残債務を免れるが、民法536条2項により注文者に請負代金全額を請求することができ、自己の債務を免れたことによる利益を注文者に償還すべきである。

出典:https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-56327.pdf

この記述は正しい。

判例は、仕事が完成しない間に注文者の責めに帰すべき事由によりその完成が不能となった場合には、請負人は、自己の残債務を免れるが、注文者に請負代金全額を請求することができ、自己の債務を免れたことにより得た利益を注文者に償還すべきであるとしている。注文者Aの失火により建物が焼失して増築できなくなったときは、Bは未履行部分の仕事完成債務を免れる。

選択肢4:根拠はこうなっている。

→ 民法第六百四十一条

請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。

この記述は正しい。

以上から、正解は選択肢2である。

2026年度試験基準での補足

請負人の担保責任の規定(民法634条〜640条)は、令和2年4月1日施行の改正で削られたり改められたりし、請負にも売買の契約不適合責任の規定が準用されることになった(559条)。2026年度試験基準では、注文者は、仕事の目的物が契約の内容に適合しないときは、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができ、建物その他の土地の工作物についても解除は制限されない。種類又は品質に関する不適合については、注文者がその不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知しないときは、これらの権利を行使することができない(637条1項。請負人が引渡しの時に不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときを除く。同条2項)。引渡しから5年又は10年の担保責任の存続期間と、その伸長の規定はなくなった。注文者の責めに帰すべき事由によって仕事を完成することができなくなったときに注文者が報酬の支払を拒むことができないこと(536条2項)、仕事を完成しない間の注文者による解除(641条)は変わらない。本問の正解は、出題当時の法令によるものである。

→ 民法第五百五十九条(2026年度試験基準の条文)

この節の規定は、売買以外の有償契約について準用する。ただし、その有償契約の性質がこれを許さないときは、この限りでない。

→ 民法第六百三十七条第1項(2026年度試験基準の条文)

前条本文に規定する場合において、注文者がその不適合を知った時から一年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。

→ 民法第六百三十七条第2項(2026年度試験基準の条文)

前項の規定は、仕事の目的物を注文者に引き渡した時(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時)において、請負人が同項の不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、適用しない。

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